小児矯正について
成長期のうちに歯並びを整える治療を「小児矯正」といいます。あごの成長を活かしながら、上下のバランスを整えたり、将来的に歯がきれいに並ぶためのスペースを確保したりするのが特徴です。
小児矯正は、大きく「第Ⅰ期矯正治療」と「第Ⅱ期矯正治療」の2段階に分かれます。第Ⅰ期は、あごの成長を利用して、歯が正しく生える環境を整える治療です。
その後、必要に応じて第Ⅱ期に進み、永久歯の歯並びを仕上げていきます。大人の矯正(成人矯正)は、成長が終わった後に歯を動かす治療ですが、小児矯正は将来のきれいな歯並びをつくるための土台づくりを目的としています。
小児矯正の開始時期について
適切な矯正開始時期は個人差があるため、「できるだけ早く始めたほうが良い」というわけではありません。一般的には5歳頃に相談し、6歳以降に必要に応じて治療を開始するのが一般的です。ただし、受け口(下顎前突)の場合は、骨格的な問題を抱えていることが多いため、3歳前後での受診が推奨されます。
当院の小児矯正の特徴
日本矯正歯科学会の認定医が治療を担当
当院の矯正治療を担当する歯科医師は、日本矯正歯科学会の認定医資格を取得しており、高度な専門知識と豊富な経験をもとに治療を行っています。認定医資格を持つ歯科医師は国内の約3%しかいないため、安心して治療をお受けいただけます。
口腔筋機能療法(MFT)で歯並びが悪くなる原因にアプローチ
歯並びが悪くなる原因には、「舌で歯を押す」「口呼吸」「片方ばかりで噛む」「頬杖」などの習慣が関係しています。当院では口腔筋機能療法(MFT)を取り入れ、これらの癖を改善することで、矯正治療の成功率を高めるとともに、後戻りを防ぎます。
小児矯正を行うメリット
顎の成長をバランスよく整え、理想的な結果を得やすい
成長期の顎の発達を利用して、歯が並ぶためのスペースを確保しながら、上下の顎のバランスを整えることで、最適な噛み合わせを実現しやすくなります。
永久歯の歯並びが良くなり、噛み合わせの問題を予防
小児矯正により、歯が生える方向をコントロールし、不正咬合のリスクを軽減します。
顎や歯への過剰な負担を軽減
悪い噛み合わせによる歯のすり減りや、顎への負担を減らすことで、将来的な歯の健康を守ることができます。
将来的な抜歯のリスクを減らす
永久歯の生えるスペースを確保することで、成人になってからの矯正治療で抜歯をしなくて済む可能性が高くなります。
成人矯正が不要、または短期間で済む可能性が高まる
小児矯正を行うことで、大人になってから矯正が不要になる、または必要になった場合でも短期間で終わるケースが多くなります。
歯並びを悪くする習慣や癖に気を付けましょう
1.指しゃぶり
指しゃぶりは3歳頃までは自然な行動ですが、4歳以降も続くと上顎が前に押し出され、歯並びに悪影響を与える可能性があります。指しゃぶりをやめられない場合は、専門的な指導を受けることをおすすめします。
2.唇をかむ
唇を強くかむことで、顎全体が内側に押される力が加わります。特に、下唇をかむ癖のあるお子さまは下顎の発育が抑制され、奥まった位置での噛み合わせ(ディープバイト)になる可能性があります。
3.常に口が開いている(ポカン口)
口が常に開いていると、唇が前歯を支える力が弱くなり、「出っ歯」や「開咬」になるリスクが高まります。お子さまにポカンと口を開ける癖がある場合は、口を閉じる習慣を身につけることが大切です。
4.舌がいつも下あごの中にある・舌を前に突き出す
舌の正しい位置は、上顎に軽く接している状態です。舌が下顎に落ちていたり、前に突き出していると、下顎に不自然な力がかかり、「受け口(下顎前突)」や「開咬」の原因になります。
5.頬づえ・横向き寝・うつぶせ寝
頬杖や横向き寝、うつぶせ寝などは、一方向から顎に力が加わるため、顎の成長や歯並びに影響を与えます。正しい姿勢を意識することが、歯並びを整えるために重要です。
口腔筋機能療法(MFT)
口腔筋機能療法(MFT:Oral Myofunctional Therapy)は、お口周りの筋肉(舌・頬・唇)のバランスを整え、正常な嚥下(飲み込み)や舌の位置を獲得するためのトレーニングです。
歯並びには遺伝だけでなく、口腔習癖(舌の癖・口呼吸・指しゃぶりなど)も大きな影響を与えるため、矯正治療と並行してMFTを行うことで、治療効果を向上させ、矯正後の後戻りを防ぐことができます。
口腔筋機能療法MFTの効果
お口周りの筋肉の機能改善
舌や唇、咀嚼筋などの筋肉のバランスを整えます。過度に働きすぎている筋肉はリラックスさせ、力が弱い筋肉は強化することで、口腔機能全体を正常な状態へ導きます。
舌と唇が正しい位置になる
普段リラックスしている状態で、舌は上顎に軽く触れているのが理想的です。MFTを行うことで、舌と唇の位置が適切に保たれ、正しい口腔習慣を身につけることができます。
咀嚼・嚥下・発音・鼻呼吸が正しくできるようになる
食べ物をしっかり噛んで正しく飲み込む、発音がクリアになる、口呼吸から鼻呼吸へ移行するなど、全身の健康にも影響を与える重要な口腔機能を適正化します。
小児矯正で使用する矯正装置
プレオルソ
プレオルソは、取り外しが可能なマウスピース型の矯正装置を使用し、歯並びや噛み合わせを整える治療法です。この装置は、お子さまの口腔周囲の筋肉や舌の動きを改善することを目的としており、正しい口腔機能を育てることで歯並びの乱れを防ぎます。
さらに、口呼吸から鼻呼吸へと導く効果が期待できるため、口腔内だけでなく全身の健康維持にもつながります。装着は日中の1時間と就寝時のみで済むため、お子さまの生活への負担が少ないのが特徴です。3歳から10歳くらいまでの成長期のお子さまに適した治療法であり、ワイヤー矯正と比べて違和感や痛みも少ないため、無理なく続けることができます。
床矯正
床矯正は、顎の成長を利用して歯並びを整える治療法です。取り外しが可能な装置を使用し、顎の骨を少しずつ広げることで、永久歯がきれいに並ぶスペースを確保します。装置に付いているネジを定期的に調整することで、顎を徐々に拡大し、歯が自然に正しい位置へと誘導される仕組みになっています。
顎の成長は9歳ごろをピークに減少していくため、乳歯から永久歯に生え変わる時期に行うことが理想的です。適切な時期に床矯正を行うことで、永久歯の生えそろい方がスムーズになり、将来的な矯正治療の負担を軽減することができます。また、抜歯をせずに歯並びを整えられる可能性が高まるため、お子さまの負担も少なくなります。
ワイヤー矯正(第二期治療)
ワイヤー矯正は、永久歯が生えそろった後に行う矯正治療で、主に12歳頃からの適用となります。歯の表面にブラケットと呼ばれる装置を装着し、ワイヤーで歯を適切な位置に動かしていく方法です。
歯並びや噛み合わせの問題を細かく調整することが可能です。ワイヤー矯正の前にプレオルソや床矯正を取り入れることで、治療期間を短縮できるケースもあります。お子さまの成長に合わせた適切な治療計画を立てることで、より効率的に矯正治療を進めることができます。